フィクトセクシュアル関連啓発団体 Fictosexual Perspective を今年(2024年2月に)立ち上げました。「啓発団体」と銘打っていますが、平たく言えば私の個人サークルです。
Twitter(X): https://x.com/FictPerspective
ブログ:https://fictosexual-perspective.hatenablog.com/
一番の目的は、フィクトセクシュアルの人々の経験や、関連する考察を、論文とは違う形でアーカイブすることです。
ということで、実際にフィクトセクシュアルの方々などにウェブ上で原稿募集を行って、集まった文章をまとめた同人誌『Fictosexual Perspective 2024』を制作しました(ちなみに来年も同じぐらいの時期に『2025』の原稿募集をする予定です)。
なかなか類書のない貴重な資料となっています。フィクトセクシュアルそのものだけでなく、たとえば「人々とフィクションとの関係」や「二次元とは何か」ということを考えるヒントにもなると思います。電子版をBOOTHで販売していますので、詳しい内容については下記のURLをチェックしてみてください。
……ここまでが告知です。以下ちょっとした余談や裏話をいくつかメモしておきます。
学術論文等でもご活用いただけます
ウェブ上で原稿募集をしたわけですが、その際に以下の留意事項を明記しました。
掲載された文章は、不特定多数の人に読まれたり、将来的に研究やメディア等で引用されたりする可能性があります。原則としてペンネームでの投稿をお願いします。(募集終了済み)同人誌『Fictosexual Perspective』の原稿を募集いたします - Fセク関連情報サイト:フィクトセクシュアルの視座から
実際に何名かの寄稿者から、「今後の研究に役立ててほしい」という趣旨のメッセージをいただいています。フィクトセクシュアルに関する一次資料のひとつとして、学術研究等でも参照していただけますと幸いです。
研究者が参照する一次資料として
本誌を制作するときに私が薄っすら意識していたのは、ROS編『トランスがわかりません!!』や『恋愛のフツーがわかりません!!』でした。セクマイコミュニティが制作した本として、コミュニティの歴史を文書資料からたどるタイプの研究でも参照されますが、たとえば藤高和輝さんの本や古怒田望人さんの論文のように、当事者の経験を哲学的に掘り下げる際の資料としても参照されています。
そういう感じで使えるものを作りたいなぁ、というのが本誌を作る動機のひとつでした。フィクトセクシュアルに関する議論は、表面的なイメージや一部の注目されやすい当事者に偏りがちなのが現状ですので、多様な当事者の姿を示す資料として本誌が役に立てばと思います。
こういう資料はブログ等でもいいと言えばそうなんですが、やはりウェブ記事はいつの間にか消えてしまうことが多く、アーカイブとして弱いところがあります。だから紙の本で残して、ちゃんと国立国会図書館に納本して、今後の研究者にも参照しやすくしておこうと思ったというのもあります。
インタビュー調査で論文書くの難しいよね……
私はいちおう社会学の分野で論文を書いていて、しかもインタビューにもとづく質的研究をひとつの軸にしているのですが、正直インタビュー調査で論文を書くのがあまり得意ではありません。インフォーマントの方の貴重なお時間をいただいて、本当にいろいろ重要なお話を聞かせていただいたのに、私の実力だと論文に盛り込めるのはたったこれだけ……?という気持ちになるのがほとんどです(なので文献を読むだけで手軽に書けるタイプの論文に逃げてしまいがちなんですよね……)。
もちろん私が調査の論文を書くのが苦手だということもあるのですが、同時に学術論文というフォーマットによる制約も大きいように感じています。分かりやすいのは文字数制限ですが、学術的な(あるいは「社会学的な」)問題設定にしなければならないことによる制約もやはりあります(論文書くのが上手かったら話は変わるのかもしれないんですけど……)。
そんなわけで、もう当事者に直接書いてもらったほうが早いし良質なんじゃないの??という気持ちになってくるわけです。そしてぶっちゃけ言えば、これが本誌を作る一番のモチベーションです。研究できる人になりたい……。
文フリ東京で頒布したら1時間半で完売した件
文フリ東京当日のツイートです↓
(販売用に25冊持ってきたんですが、開始1時間で20冊売れたみたいです……)
— Fictosexual Perspective(文フリ東京39/I-31) (@FictPerspective) 2024年12月1日
最初の1時間はお手伝いの方に店番を任せていたのですが、戻ってきたら残部5冊になってました(マジでびっくりした)。だいぶ部数を見誤った感じなので、来年『2025』を頒布するときは、もうすこし部数を考えようと思います。あと卓上ポスタースタンドを買いそびれたので、来年には用意しておきます。