境界線の虹鱒

学部3年生の頃(2017年)からやっているブログです。古い記事ほど情報が粗いのでご注意ください。

文献メモ

【文献メモ】他者化されたポルノ消費者について、およびポルノ受容者への調査

Alan McKee, 2017, "The pornography consumer as Other." Clarissa Smith, Feona Attwood and Brian McNair eds., The Routledge Companion to Media, Sex and Sexuality. Research Gateで全文公開されている。 要約メモ 従来のポルノ消費者に関する研究は…

【文献メモ】トランスジェンダー差別とクィア・アフェクト理論――アメリカの「トイレ法案」を事例に

Julie D. Nelson, 2018, “Governing Bodies: The Affects and Rhetorics of North Carolina’s House Bill 2” Lei Zhang, Carlton Clark eds., Affect, Emotion, and Rhetorical Persuasion in Mass Communication, New York: Routledge, 106-114. 2016年2月…

『セックスの哲学』The Philosophy of Sex: Contemporary Readings 目次一覧(暫定版)

セックスの哲学に関する論文集 The Philosophy of Sex: Contemporary Readings の収録論文リストです。文献探しにご活用ください。 ※以下のリストはAmazonの目次から作成した暫定版です(気が向いたら古い版もリスト化するかもしれません)。無料公開されて…

【文献メモ】二次創作のアーカイブに関するフェミニズム・クィア的評価

Rogue Archives: Digital Cultural Memory and Media FandomBy Abigail De KosnikChapter 3 Queer and Feminist Archival Cultures: The Politics of Preserving Fan Works アビゲイル・デ・コズニック『ならず者のアーカイブ――デジタル文化の記憶とメディア…

安全、正気、そして合意――英米でのS/M実践者についての研究

Darren Langdridge (2016) "The time of the sadomasochist" in Introducing the New Sexuality Studies 3rd Edition (p.337-345) 精神医学による病理化と、それに対する抵抗 法的な闘争 メディアでの扱い サドマゾヒズムの語りの出現 安全、正気、そして…

【文献紹介】A. W. イートン「賢明な反ポルノフェミニズム」後編

前回の記事の続きです。 前編では、「そもそもなぜポルノが問題なのか」「ポルノは具体的にどのような害をもたらしうるのか」を議論した。後編では、そうした有害仮説について、実証面での議論を進めていく。なお論文中で言及される先行研究については、原文…

【文献紹介】A. W. イートン「賢明な反ポルノフェミニズム」前編

Eaton, A. W. 2007. “A Sensible Antiporn Feminism.” Ethics 117(4):674–715. ポルノグラフィをめぐっては、日本でもネットなどでしばしば論争になる。しかしそうした “論争” は、対立する双方が論点を共有していないことも多く、往々にして不毛な議論にな…

「(性的)モノ化」論のアップデート――心理学的研究を踏まえて【文献紹介】

E Orehek and CG Weaverling (2017) “On the Nature of Objectification: Implications of Considering People as Means to Goals,” Perspectives on Psychological Science, 12(5): 719-30 全文PDFは上記リンク先でダウンロードできる。 梗概和訳 人がある…

無性愛(アセクシュアル)研究への招待――英語圏での研究動向(文献メモ)

Ela Przybylo (2016) "Introducing Asexuality, Unthinking Sex." in Introducing the New Sexuality Studies 3rd Edition (pp.181-191) 当該箇所の全文pdfはこちらのリンク先でダウンロードできる。 https://www.researchgate.net/publication/312664690_In…

Aセクも多様です――Aセクシュアルの自慰と性的空想に関する近年の研究動向(後編)

お待たせしました。以前の論文紹介の続きです。(元論文へのリンクは前回の記事にあります) 【内容報告】 前回の記事でも述べたとおり、Aセクシュアルの性的空想とマスターベーションに関する量的調査である。まずは調査結果の概要をまとめておく(今回の論…

性暴力ゲームは批判されるべきか?――レイプレイ事件に関する海外の論文

原題 “RapeLay and the return of the sex wars in Japan”(レイプレイと日本におけるセックス戦争の再来)PW Galbraith 梗概和訳この論説では、プレイヤーに架空の女性をレイプすることを許すようなアダルトコンピューターゲームである『レイプレイ』(2006…

ゲイル・ルービン『性を考える セクシュアリティの政治に関するラディカルな理論のための覚書』個人的要約メモ

フェミニズム系文化人類学者のゲイル・ルービンによる、ゲイ/レズビアン運動やクィア・スタディーズにおける重要文献(原典初出は1984年)。多様なセクシュアリティが階層化され、下層に位置付けられたセクシュアリティが法制度や社会規範によって攻撃され…

オナニーしたってAセクです!――Aセクシュアルの自慰と性的空想に関する近年の研究動向(前編)

原題:"Sexual fantasy and masturbation among asexual individuals: An In-Depth Exploration"(「Aセクシャルの性的空想とマスターベーション:徹底的な調査」) 梗概(和訳) Aセクシャルの人は一般的に、セクシャル・アトラクション(性的に惹かれる…

『苦痛か性的快感かの表情判断における性差』(梗概和訳と雑感)

(原題 "Sex Differences in the Assessment of Pain Versus Sexual Pleasure Facial Expressions") 梗概(和訳) まったく異なる情動でありながら、苦痛を感じている人の表情は、強い性的快感を感じている人の表情と驚くほど似ている。私たちは、男女それ…